こんにちは!
日本アート教育振興会の石川絵梨花です。
「音楽×美術」を軸に
3人のアーティストが持つ着眼点や表現を堪能する「描かれた音楽たち シリーズ」。
「アップライトピアノ」から「パリ市民の豊かさを表現した」ルノワール、
「音」から自然と人々の信仰心を見出し「見えないもの」を描いたゴーガン
を紹介してきました。
そして、最終回である3人目として、
今日は、ラウル・デュフィを紹介していきます!
では、どうして最後にデュフィを紹介するのか。
その理由は、
私の大好きな画家だからです!!!
<デュフィとの出会い>
いつ、デュフィに惹かれたのかはもう覚えていませんが、
知らないうちに、装飾的で見ていて「心地いい」デュフィの作品に魅了されていました。
そして、とくに好きな作品が「コンサート・シリーズ」です。
デュフィはコンサート・オーケストラを描いた作品を数多く手がけています。
(その作品らをまとめて、私は勝手に「コンサート・シリーズ」と呼んでいます)
複数の楽器がメロディーを紡ぐように、
デュフィの作品は、複数の色彩がハーモニーを奏でるように画面を構成しています。
<「デュフィ」という人物>
デュフィは、モネが幼少を過ごしたル・アーヴルに生まれます。
マティスの作品に影響され、フォーヴィスムに傾倒した作品を制作。
その後もセザンヌなどの影響を受けながら、自身の画風を確立させていきます。
南仏の海辺や競馬場を多く描き、
40年以後、私の好きなオーケストラの連作も制作をスタートします!
デュフィは、
人生における幸福な光景を主題とした作品を求めるようになりました。
また、服飾デザイナー、ポール・ポワレとの仕事を契機に
布地のデザインを行い、さらには舞台美術や個人宅の壁画等、
装飾の仕事を多く手がけました。
デュフィは絵画だけにとどまらず、
装飾、ファッション・デザインとその創作活動は幅広いと言えます!
<音の広がりを、色彩で魅せる>
そんなデュフィの一番の特徴は「色彩」と言えます。
マティスの描き方に傾倒したデュフィは、
「フォーヴィスム」の代表作家の1人といえます。
そしてデュフィは
オーケストラたちの稽古に通い詰め多くのデッサン・作品を描きました。
彼と交友のあったチェリスト、パブロ・カザルスは
デュフィの作品について、こんな言葉を残しています。
「演奏されている曲が何かということはできませんが、
どのキーで描かれたものかは分かります」。
それくらい、デュフィは「楽器が発する音」に注目し
それを、色彩で表現しようとしていたといえます。
<デュフィ《電気の妖精(La Fée Électricité)》>
そしてデュフィの「大作」といえばパリ近代美術館にあるデュフィによる巨大壁画。
《電気の妖精(La Fée Électricité)》
私、デュフィが好きと言いながらこの作品のことを知らず、、、
4回目のパリ旅行でやっとお目にかかることができました。
この作品は、1937年のパリ万博の際に描かれたもの。
視線を向かって右から左に移すと古代から現代までの電気の歴史が表現されているんです!
ここには108人の研究者や、多くの偉人たちが描かれており
友人と偉人探しに熱中したのもいい思い出です。
そしてこの作品「電気」といっておりますがもちろん「オーケストラ」も描かれております。
高い壁に、かつ楕円形に湾曲した空間。
まるでデュフィの音楽に包み込まれるようでした。
撮影:筆者
音楽が空気全体を包むように「色彩が空間を飽和していく」。
この「広がり」が
作品を見た時の「心地よさ」なのかもしれませんね。
<シリーズ最後に>
ここまで3人のアーティストを見てきました。
3人ともにパリで活動したアーティストでしたが、
それぞれ、「音楽」から何を見出しているのか、大きな違いがあったといえます。
ルノワールは、
一般に普及されていった「アップライトピアノ」から「パリ市民の豊かさ」を。
ゴーガンは
自然の中で偶発的に発生する「音」に原住民と自然(=霊)の信仰的なつながりを
見出しました。
そしてデュフィは、
楽器たちが紡ぎ、空間に広がる「音楽」を色彩の広がりで表現しようとしました。
一つの「音楽・音」であっても
それに感銘した人が
「どこに注目したのか」
「どこで心打たれたのか」
全く違うといえます。
これこそが「表現」の面白さでもあります!
みなさんも、作品を見る時に自由に、のびのびと作品と対話してみてください。
作品は、作品解説よりも雄弁に語っています。
そして、その作品から感銘を受けた<視点>は、
あなただからこそ、見出したといえます。
彼らが「音楽」から各々の表現を見つけたように!!
このシリーズを通して、
新しい美術の楽しみ方をお届けできたら嬉しいです!
本シリーズはここまで♪
また別のシリーズでお会いしましょう!
最後までお読みくださりありがとうございました。