こんにちは!
日本アート教育振興会の石川絵梨花です。
みなさん、2024年の秋はいかがでしたでしょうか?
秋といえば、
「〇〇の秋」という言葉がたくさんありますよね!
食欲の秋、
スポーツの秋、
読書の秋、
収穫の秋、
などなど。
みなさんはどんな「秋」を堪能しましたか?
私は「芸術(美術・音楽)の秋」!!
芸術全般を堪能しました!!(笑)
芸術に触れると、心が揺さぶられて
何か新しい「感覚」が刺激されます!
もしかしたら、アーティストたちも作品を制作するとき、
観察を通して、
自分の感性から湧き立つもの、
もしくは言語化できない感覚
を描き出そうとしているのではないでしょうか?
つまり、想像力の根底には、
「何かしらの感動」があったに違いありません。
そしてこの「感動」の一つとして、他分野の芸術との関わりが挙げられます。
今回は「描かれた音楽たち シリーズ」として
音楽と美術に注目していきます!
同じ「音楽」というジャンルから刺激を受けていても
その着眼点や表現は、アーティストによって変化します。
19世紀以降の美術を舞台に、
3人のアーティストに焦点を当て音楽と美術の関係性を紐解いていきます。
シリーズ1人目は、ルノワールを取り上げていきます!
<「ルノワール」という人物>
13歳の頃より磁器の絵付けを勉強し職人として働きますが、
20歳の時に画家シャルル・グレールのアトリエで
クロード・モネらと出会い、画家に転身。
その後、ルノワールは印象派のメンバーとして、
屋外での作品制作に勤しみます。
ルノワールの特徴は、ふわふわとした印象の人物描写と言えます。
この人体表現は、当時の批評家たちからは理解されず
「腐敗した肉体」と揶揄されてしまいます。
それでもルノワールは屋外の光と
パリ市民たちの活気を柔らかなタッチで描き続けます。
しかし1879年のサロン展での成功を契機に、
ルノワールは、印象派の運動から徐々に距離を置くようになりました。
そして、1890年代、ルノワールは強力な画商による支援や
新しい愛好家との関係を構築させ、
そしてついには、フランス政府から依頼されるような
国を代表する画家になったのです!
<音楽を奏でる少女たち>
こちらの作品は《ピアノを弾く二人の少女》。
1894年に制作された晩年の作品です。
作品の中央にはふたりの少女が
アップライトピアノに向かっている姿が描かれています。
2人は姉妹なのでしょうか?
2人は色違いのワンピースと髪飾りをしていますね。
<アップライト・ピアノの普及>
当時アップライト・ピアノは珍しいものではなく
近代の家庭にも普及していました。
そんなことから、ここに描かれている姉妹は当時の一般家庭の子供といえます。
アップライト・ピアノに向かい仲の良さそうな2人の口元に注目すると、
少し開いていることがわかります。
楽譜を口ずさんでいるのでしょうか?
ルノワールの柔らかなタッチが相まって、
軽やかなアップライトピアノのメロディーと少女たちの楽しげで愛らしい、
穏やかな歌声が聞こえてきそうです。
<「豊かさ」の象徴としてのピアノ>
この部屋の全体に目を向けると……
アップライトピアノの上には、装飾的な花瓶に色鮮やかな花々。
そして奥の部屋に視線を向けると
ソファーの上に絵画作品が飾られています。
「花を飾る」「絵画を飾る」という行為は
時間や心に余裕がないとなかなかできないのではないでしょうか?
そしてパステル調の温かみのある色彩。
ルノワールは、「アップライト・ピアノ」を描くことで、
一般家庭の情景を描きながらも、そこに家族の豊かさを見出したのです。
また、2人でハミングする様子を描くことで、
音楽を通して2人の仲の良さ、そして家族への愛情が感じられませんか?
あなたはこの絵画からどんな音、音色が聴こえてきますか?