こんにちは。
一社)日本アート教育振興会の石川です。
前回のメルマガでファッションとアートの関係について
「ルネサンス美術」を鑑賞しましたね!
ファッションとは、単なる実用でありません。
自己表現の最前線です。
この「着飾る」という行為を、美術史の視点から眺めると、
私たちの服装がどれほど社会や文化と結びついているかが見えてきます。
それでは一緒に19世紀以降に紡がれた
「人間がいかに自らを装い、何を語ろうとしてきたか
(=ファッション)」の歴史を堪能していきましょう。
【コルセットの時代と、その解放】
19世紀。
ファッションは「女性を美しく見せる」
ことに
重点を置くようになりました。
その象徴がコルセット。
ウエストを極端に締め付け、
砂時計型のシルエットを作り出すこの装置は
「理想的な女性像」を物理的にかたちづくりました。
しかし、これは同時に女性の身体を制約し、
社会的にも束縛するものでした。
20世紀に入り、
この束縛からの解放をもたらしたのは
【二人のファンションの申し子】。
ポール・ポワレと
ガブリエル・シャネルです。
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ポワレは、1906年頃から
コルセットを不要とするドレスを発表。
彼のデザインはウエストを締めつけず、
流れるようなシルエットを強調したもので、
これは後の「モダンファッション」
の先駆けとなりました。
そして1920年代に入ると、
ココ・シャネル がさらに実用的で動きやすい服を提案。
シャネルはポワレの「装飾的な服」に対して、
シンプルで洗練されたデザインを打ち出し、
コルセットのない軽やかなシルエットを広めました。
とくに「リトル・ブラック・ドレス」や
「ツイードスーツ」 などは、
女性の自由な動きを重視した象徴的なスタイルです。
(この二つは、今でもシャネルの代表的なアイコンですよね!憧れます!!)
「贅沢とは快適であること」と語ったシャネルの服は、
女性たちに新しい自由を与え、
ファッションの歴史に革命をもたらしました!
【モダンファッションと「装飾」の美学】
ファッションが機能性を重視する一方で
「装飾」そのものの美的価値も見逃せません。
たとえば、アール・ヌーヴォーの時代。
アルフォンス・ミュシャのポスターには、
豪華なジュエリーを身にまとった女性が登場。
これは、装飾品が単なるアクセサリーではなく、
個性を表現する手段であることを示しています。
「アクセサリー」の美術としての価値・関心は高まっており
色々な美術館で展覧会が行われていますね!
私の一番印象深い展覧会は
2023年にパナソニック汐留美術館で開催された
「コスチュームジュエリー」展です!!
(ちなみに本展は2025年4月19日〜6月22日まで
札幌芸術の森美術館で開催予定です!!!)
そして現代においても、
アクセサリーはファッションの中で特別な意味を持ちます。
たとえば、
ヴィクトリア朝のカメオブローチは「家族の記憶」を象徴し、
パンク文化のスタッズやチェーンは反逆の精神を表現。
私たちは装飾を通して、
無言のうちに自分のアイデンティティを語っています。
【「着飾る」ことは自己を超えた表現】
結局のところ、ファッションとは何なのだろうか。
哲学者ジャン=ポール・サルトルは
「人間は自らを創造する存在である」と語っています。
私たちは毎朝の服選びの中で、
無意識に「自分はどんな存在でありたいか」を選択している
といえます。
シンプルなシャツを選ぶ日も、
きらびやかなアクセサリーを身につける日も、
少しかしこまってタイをつける日も、
ラフにサングラスを身につける日も。
そのすべてが「私」という物語の一部なのです。
さて、
今日は、
明日は、
明々後日は、
どんな「自分」を纏おうか。
今日も一日、着飾った「あなた」を
楽しんでいきましょう。
そして
「ファッション」と美術って面白いと思ったあなたへ、
東京オペラシティ アートギャラリーで
「LOVEファッション─私を着がえるとき」(4.16〜6.22)
が開催されます!!
私は京都で開催されている時にみたのですが、
とてもシビれる展覧会でした!
(ちなみに原宿ではロエベの大回顧展が開催中!)
ファッションを通して
「私」を、見つめ直してみませんか?
今日も最後までお読みくださりありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。