こんにちは。
一社)日本アート教育振興会の河野です。
今日は、子どもの「集中力」と「睡眠」という、
密接に関わっているテーマについて
お話ししたいと思います。
教育現場やご家庭で、こんな声を聞いたことはないでしょうか?
「授業中、集中が続かないんです」
「テスト前になると眠れなくて…」
「夜更かしが習慣になってしまっていて…」
こうした悩みの裏には、
脳や体のリズムと深く関係する「睡眠」の質が隠れていることが少なくありません。
特に小学生〜中学生という発達段階では、
十分で質の高い睡眠が「集中力」の鍵を握っているのです。
■ 集中力とは何か?
まず「集中力」という言葉を整理してみましょう。
心理学では、
集中力は「注意の持続」と定義されることが多く、
必要な情報に意識を向け、
他の情報を遮断する力です。
この能力は、読み書き、計算、運動、
さらには友だちとの関わりにも影響します。
つまり、集中力は「学びのエンジン」のようなもの。
このエンジンがうまく動かないと、せっかくの学習機会も十分に活かせません。
■ 睡眠と集中力の関係
ここで重要なのが「睡眠」との関係です。
脳は、眠っている間にその日得た情報を整理し、
記憶に定着させています。
特に深い眠り(ノンレム睡眠)は、脳の回復と情報の整理に不可欠です。
もし十分に眠れていなければ、翌日の脳の働きは落ち、集中力もガタッと下がってしまいます。
実際、以下のような研究報告があります。
睡眠時間が6時間未満の子どもは、注意力の低下や感情の不安定さが見られやすい
夜更かし型の生活習慣は、朝の授業への集中を著しく下げる
昼寝を適切に取り入れることで、午後の認知機能が向上する
つまり、「集中できない子ども」を見たとき、
単に「やる気がない」「注意散漫だ」と決めつけるのではなく、
「睡眠の状態はどうだろう?」という視点がとても大切になります。
■ 成長に伴う睡眠の変化
子どもの成長とともに、必要な睡眠時間は変化します。
年齢別推奨睡眠時間(米国睡眠医学会)
6〜12歳 9〜12時間
13〜18歳 8〜10時間
いかがでしょう。
この時間あなたのご家庭のお子さんは寝られていますか?
中高生でも8~10時間も必要だなんて驚きですよね。
特に睡眠時間が短いといわれている日本で、
この時間しっかり寝られているお子さんは少ないのではないでしょうか。
ですが実は、これは生活習慣だけでなく
ホルモンも関係しています。
思春期に入ると、ホルモンの変化によって
「眠くなる時間」が遅くなる傾向があります。
そのため、夜型の生活になりがちですが、
登校時間が変わらない以上、
睡眠時間は減ってしまいます。
このギャップが、慢性的な寝不足を生み、
「午前中ぼーっとしている」
「やる気が出ない」
といった状態を引き起こします。
では、子供に関わる大人として、
どんなことができるでしょうか?
1. 睡眠リズムの見直しをサポートする
家庭では、スマホやタブレットの使用時間を見直したり、
夜9時以降は照明を落とすといった工夫が有効です。
学校では、保護者向けに「睡眠と集中力」の関係を啓発する機会をつくるのも効果的です。
2. 朝の活動に変化をつける
午前中に集中できない子には、
「軽いストレッチ」
「短い音読」
「朝の太陽光」などで
脳のスイッチを入れると、
集中力が上がりやすくなります。
3. 昼寝や休憩の時間を見直す
午後の授業前に10〜15分の休憩(または静かな時間)を入れると、注意力が持続しやすくなるという研究もあります。
4. 「がんばれ」より「休もう」を
受験勉強中ですと特に、大人はつい「がんばれ!」と言いがちですが、
時には「今日は早く寝てみようか」と伝えることが、
子どもにとって一番の支えになることもあります。
「集中力」は教育の成果を左右する力ですが、
それを支えているのは「よく眠れること」という、
とてもシンプルな土台が隠れているんです。
日々の学びの中で「眠れているかな?」という視点を忘れずにいれば、子どもたちの力はもっと自然に引き出されていくかもしれません。
今夜は親子でたっぷりと寝てみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。