こんにちは。
一社)日本アート教育振興会の河野です。
皆さんは、クロード・モネの代表作『睡蓮』を生で鑑賞したことがありますか?
淡い光。
水面に映る空。
風に揺れる花々。
世界中で愛されている作品ですが、
実はそのキャンバスには、
美術館の解説にはあまり出てこない「あるもの」が混じっています。
それは、「砂」や「タバコの灰」です。
■ なぜ名画に「灰」が混じっているのか?
「巨匠なのに、そんなことがあるの?」
と思うかもしれません。
でも、これはモネの“不注意”というより、
制作への強いこだわりから生まれたものだといわれています。
晩年のモネは、
ジヴェルニーの庭にある睡蓮を何度も描いていました。
アトリエにこもるのではなく、
大きなキャンバスを外に運び出して制作していたのです。
風が吹けば、
庭の砂が舞う。
愛煙家だったモネのタバコの灰も、
絵の上に落ちたことでしょう。
普通なら取り除きそうですが、
モネはそれを気にせず、
そのまま絵の具と一緒に塗り重ねていきました。
当時のモネにとって大事だったのは、
「きれいに整った絵」を描くことより、
その瞬間の光や空気を残すことだったのかもしれません。
しかもモネは、
晩年には白内障で視力がかなり落ちていたといわれています。
それでも絵の具のラベルを頼りに、制作を続けていました。
そうした背景を知ると、
キャンバスに残る砂粒や灰も、
その場の 空気や制作の跡のように見えてきます。
■ 『睡蓮』を見るときの小さな楽しみ
もし次に美術館で『睡蓮』を見る機会があったら、
ぜひ少し近づいて見てみてください。
(もちろん鑑賞マナーの範囲で!)
厚く塗られた絵の具の中に、
小さな砂粒のようなものや、
不思議な質感を見つけられるかもしれません。
それは、モネが確かにその場所で生き、
タバコをくゆらせながら、
光を追い続けていた生きた証です。
そう思うと、あの静かな絵から、
風の音や、
煙草の香り、
湿った庭の匂いまで漂ってくる気がしませんか?
何か『睡蓮』の見え方も少し変わってくる気がします。
最後までお読みいただきありがとうございました。