チェコならではのシュールレアリスム

こんにちは!

日本アート教育振興会
尾﨑です。

「シュールってなんだろう」

でシュールレアリスムについてお話しさせていただいたのですが、

今回は、せっかくプラハに在住しているということもあり

チェコのシュールについてお話しさせて頂こうと思います!

チェコといえば、長く苦しい20世紀を生き抜いてきた小さな歴史のある国。

ナチズムに制圧された後は、スターリニズムにも長く制圧されていました。

「チェコの文学やアート作品ってシュールなものが多いよね」

と思われる方も多いと思うのですが、チェコのシュールが有名になったきっかけは、

日本でも熱烈なファンが多い「ヤン・シュヴァンクマイエル」ではないでしょうか。

ただ、ヤン・シュヴァンクマイエルよりも前に活躍していた

偉大なシュールレアリスムのアーティスト「トワイヤン」をご紹介しながら

日本のシュールと似たところもお話したいと思います!

チェコ出身の画家トワイヤンは、1900年前半当時パリで活動しており、

パリで流行していたシュールをチェコに持ち帰ってきた代表的な1人です。

1939年にナチスドイツがチェコを占領し始めた際、彼女は、活動場所を公共の場からアンダーグラウンドへ移しました。

ナチスドイツは、シュールリアリズムを退廃芸術と分類しており、

(退廃芸術とは、ナチ党が近代芸術や前衛芸術を道徳的、人種的に堕落したものと指定した芸術です)

その為にアンダーグラウンドへと移されたチェコのシュールが

今のチェコシュールの基盤を作ったのではないでしょうか。

さて、彼女の作品は、基本的にはパリで流行した本場の

「シュールレアリスム」に沿っているのですが、

彼女なりのエッセンスが効いています。

それは、何か?と言いますと

「皮肉とエロス」

です。

彼女の本名は、マリエ・チェミールノヴァ。

チェコでは、性別によって苗字が変わるのですが、男性の苗字を基本形と仮定すると

女性性には、男性苗字+ová(オヴァ)を付けることが一般的です。

そんなわけでチェコ人は、苗字で性別がわかることが多いのですが

性区別を酷く嫌ったトワイヤン。

自身の本名であるマリエもチェミールノヴァも一目で女性とわかることが嫌で

自身でトワイヤンと名乗るようになったのだとか。

(トワイヤンは、フランス語で市民を表す「シトワイヤン」の造語からだと言われています。

また、自身もよく男装をしていたそうです)

そんなトワイヤン、なぜエロスに傾倒して言ったかと言いますと

インジフ・シュティルスキー(チェコのシュールレアリスムの画家)と深い親交があり彼に影響された、

サド公爵(フランス革命期の変態的なことが大好きな風変わりな貴族。

彼を題材としたパペットアニメーション「マルキ」は今でもカルト的な人気があります)の影響など

と言われていますが真実は分かりません。

ただ、彼女のこのエロを描くという行為は、権力に対して個人の自由を訴える

一連の革命的な芸術行為だったようです。

(Artpedia参照)

そんな彼女のエロスの作品に私は、少々の皮肉を感じるのですが

それは、制圧され表現も自由にできない中

権力という支配から逃れるための反旗を皮肉に込めている為ではないか、と思います。

ナチ制圧の後の旧ソ連が制圧していた共産主義時代。

その中で生み出された文学やアートは

権力という大きな力の中で芸術家達がいかに自由を手に入れるのか

自分達の境遇を皮肉な笑いというシュールさで権力という大きな力に

戦いを挑んでいるのではないかと思います。

そんなチェコの皮肉的なシュール

暗くて、陰気で、だけど、魅力的で少しの笑い。

そんな、チェコならではのシュールは、

少し日本のシュールに似ていると思いませんか?

日本独自のシュールである不条理でナンセンス。

蛭子能収、丸尾末広や花輪和一などの「月刊漫画ガロ」から生まれた作家達の

アンダーグラウンドな世界観は、

歴史的な背景は違えど、似ている部分もあるのではないでしょうか。

歴史の視点から見るシュールはどうでしたか?

色々な視点からアートを見ると今までにない発見もあるのではないでしょうか?

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最後まで読んでいただきありがとうございました!
ご感想や質問などあれば是非お聞かせください!  

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