おはようございます。
一社)日本アート教育振興会の河野です。
あなたは“ルネサンス”と聞くと、
どんなイメージが浮かびますか?
きっとイタリアのレオナルド・ダ・ヴィンチや
ミケランジェロを
思い浮かべる方も多いと思います。
その頃、日本では何が起こっていたのでしょうか?
実はその時代、日本でも独自の美が花開いていました。
今回は
「ルネサンス期のヨーロッパ」と
「室町〜安土桃山時代の日本」を
並べて眺めてみましょう!
14世紀後半から16世紀にかけて、
ヨーロッパでは
「ルネサンス(再生)」という文化運動が起こりました。
中世の宗教中心の世界観から、
人間の身体や理性、感情に注目する考え方に
シフトしていきます。
その象徴が、美術の世界では
写実的な人物描写や遠近法。
たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》や、
ミケランジェロの《ダビデ像》は、
「人間ってすごい!」という喜びがあふれる作品です。
科学や解剖学の知識を使って、
肌の質感、筋肉の動き、光と影まで細かく表現する姿勢には、
「見えるものを、正確に、美しく描く」ことへの強い情熱が感じられます。
一方で同じ頃、日本では室町時代から安土桃山時代にかけて、
水墨画や茶の湯文化が花開いていました。
ルネサンスのように「見えるものをリアルに描く」というよりは、
“見えないものを想像させる”ような
余白や抽象性が重視されます。
たとえば、雪舟(せっしゅう)の水墨画《天橋立図》は、
濃淡の墨だけで
風景を表現しています。
写実とは違いますが、その“にじみ”や“かすれ”が、
かえって自然の深さや静けさを感じさせます。
また、同時期に広がった禅の思想は、
「何もない空間の中に心の動きを映す」という考え方を育て、
美術にも大きな影響を与えました。
ヨーロッパと日本、
一見まったく違う方向に進んでいるように見えますが、
興味深い共通点もあります。
それは、どちらも
「人間の内面」や「精神性」
を深く掘り下げた点です。
ルネサンスの画家たちは、
「人間の肉体や感情のリアルさ」
を通じて心を描こうとしました。
一方で日本の芸術家たちは、
「風景や道具の中に潜む静けさ」
を通して、
見る人の心を動かそうとしました。
方法は違えど、
「人間って何だろう?」
「世界ってどう見えるんだろう?」
という根本的な問いに、
美術で答えようとした姿勢は共通しているのです。
私たちはつい、
「どっちの美術がすごい?価値がある?」
と比べたくなることがあります。
でも、本当に面白いのは、
違いを味わいながら、自分の感覚を育ててい
くことです。
たとえば、ルネサンスの絵を見たあとに雪舟の水墨画を見ると、
「なぜこんなに余白が多いのに、こんなに心が落ち着くんだろう?」
と不思議に感じるかもしれません。
逆に、静かな日本美術に慣れたあとでミケランジェロの彫刻を見ると、
「人間の力強さって、こうも大胆に表現できるんだ!」
と感動するかもしれません。
そんな風に、
東西の“美”を行き来することで、自分の中に新しい発見が
生まれていく。
そんな楽しみ方もあるかもしれません。
今回のように「同じ時代、違う文化」を並べて見てみると、
美術は“過去のモノ”ではなく、
今の私たちにも問いかけてくる“現在進行形のもの
”だと感じられます。
あなたの好きな美術は、
どんな時代、どんな国のものでしょうか?
ぜひ、ちょっと違う文化にも目を向けて、
“美の旅”を楽しんでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。